本当は日付変わる前に絵は描き終えてたんですけれど、文章付け加えたりブログつながらない…と苦戦していたらこんな時間になっていました…。
けどせっかくなので載せたいです。
文章置き場にもアップはしたんですけどね(笑)
※TOX2ネタバレ
ヴィクラルバレンタイン絵文です。
ちょっと注意…?
(追記から)
仕事を終え、帰宅してその日の晩御飯を作るのは、自分の役目だった。
しかし今日に限ってそれは許されず、妻と、まだ幼い娘によって、台所から追い出されてしまった。
その理由がさっぱりわからなかったがすごい剣幕で自分を追いだした女性二人に抗う気にはなれず、黙ってテーブルの前に座っていると、何やら甘い香りが流れてきた。
そこでふとカレンダーを見上げ、今日が”その日”であることに気付いた。
「これ、私たちからのチョコレート。」
黙って桃色の小さな箱を掲げる娘を見て笑いながら妻がそう言う。
箱を包んでいるリボンをほどいてそっと蓋を開けてみれば、そこには少し不格好な生チョコがいくつか詰まっていた。
「ありがとう、エル、ラル。」
目の前にいた娘の額にそっとキスを落とすと、彼女はくすぐったそうな素ぶりを見せ、走って逃げてしまった。
「じゃあこれは晩御飯のあとに食べるよ。」
そう言って妻に微笑みかけると、妻は浮かべた笑顔そのままに、凍りついてしまった。
「ラル?」
「…ごめんなさい、私すっかり晩御飯のこと忘れていたわ。」
その後急いで晩御飯を作って食卓に出すと、妻は少し申し訳なさそうに笑った。
食後すぐに眠ってしまった娘を寝室に運び、再びリビングへと戻ると、ソファに座る妻が先程の桃色の箱を手に持ち、こちらをニコニコと見つめてきた。
「一つ食べてみて?」
箱に入っているチョコレートの中から一つ選んで摘み食べてみると、口の中にじんわりと甘さが広がった。
「おいしいよ。」
「そう、よかった。実は味見出来ていなかったの。」
「えっ…」
妻から衝撃的な事実を告白され唖然としたが、すぐにとある考えが頭に浮かんだ。
「じゃあ今から食べてみればいい。」
「そうね、じゃあ一ついいかしら?」
そう言ってのばされた手をそっと制すると、彼女は不思議そうな表情をした。
「目をつぶって」
「…?こう…?」
従順な妻にニヤけるのをおさえつつ、次の言葉を告げる。
「じゃあ次は口を開いて。」
彼女が口を少しだけ開けたのを確認して、箱から一つチョコを取り出し、溶けないようそっとくわえる。
ここでようやく彼女はこの状況に違和感を感じたらしいが、もう遅い。口にくわえたチョコをそのまま、彼女の微かに開いた口へと押し込む。
「…っ?!」
驚いてひくついた彼女の舌の上までチョコを運び、そしてそのままそこで溶かす。
しばらくして固体がなくなったのを確認してから、そっと顔を離すと、彼女の頬は真っ赤に染まり、目には微かに涙が溜まっていた。
「どうだった?」
唇から少しだけ流れ出たチョコを人差し指で拭いながら尋ねると、彼女はそのうるんだ瞳をそらしながら、小さくつぶやいた。
「少しだけ、甘くし過ぎてしまったようね。」